ウイスキー業界にとっての2020年という年
今年はジャパニーズウイスキー界にとっては様々なニュースがありましたね。
3年物のウイスキーが登場したり、10年物のウイスキーも登場したり
もともと2020年はオリンピックイヤーという事もあり各蒸留所や業界で様々な取り組みの結果等を用意し披露をする年でもあったんですが新型コロナウイルスの影響もあり、ウイスキーフェスの中止が重なりウイスキーラバーの方々との直接のお披露目とはならないことが多くありました。
僕自身もウイスキーフェスで日本各地に行く予定を昨年から決めていましたが全てキャンセルになりました。このブログを書いている2020年11月中旬、都内の感染者数も500人を超え冬の寒さ、乾燥の影響により年末年始がどのようになるかを常に考えながらの毎日、厨房で仕込みをしています。
三郎丸蒸留所
北陸で唯一のウイスキー蒸留所が「三郎丸蒸留所」です。
三郎丸蒸留所自体の歴史は古いのをご存知でしょうか?
実は1952年からウイスキー蒸留しています。
蒸留所としては三郎丸蒸留所として存在をしていますが、母体としては若鶴酒造として冬に日本酒を仕込んで、夏にはウイスキーを蒸留してきたという歴史があります。
二毛作で別のお酒を作っているために産量はは限られていて、昔からのヘビーピーテッドの麦芽使用したウイスキーを造ってた背景があります
1952年というと世界的には以下のような出来事がありました。
・アメリカ人類初の水爆実験
・ロンドンスモッグ事件
・ジョージ6世崩御
・血のメーデー事件
・英国初の核実験
・明仁親王殿下、立太子礼・成年式
日本三大深湾のひとつ富山湾
上のGoogleMapで蒸溜所の右斜め上には富山湾があります。
料理人の僕からすると旨いものだらけが富山のイメージです!
富山というとホタルイカやシロエビ、紅ズワイガニ、寒ブリという流れで春夏秋冬に美味しい海の幸が多いことで超有名です。
富山湾は、西側を能登半島に守られた内海になっています。そして、もっとも深いところでは水深が1,200m以上もあるのですが、これは太平洋側の駿河湾、 相模湾とならんで日本を代表する深い湾のひとつです。
特徴というべきことに「浅いところが少なく、岸近くから急に深くなっている」ことが非常に大きな特徴と言えます。
更に、海底は深い谷が刻まれた複雑な地形をしています。これを海底谷というのですが、岸から急に深くなっているところは、海の青さが一段とこく、藍色のような色をいていることから「あいがめ(藍瓶)」とよばれていれ、このことでシロエビ、紅ズワイガニなどの住みかとして適しているんだそうです。
豊かに恵まれた良水
海の次は陸地という事で、三郎丸蒸留所は富山県砺波市三郎丸という場所にあります。住所の土地名が三郎丸だから三郎丸蒸留所なんです。
そして砺波市の砺波は「となみ」です。この地には「瓜裂生水(うりわりしょうず)」と言って日本名水百選にも選ばれた水です。ウイスキー造りに問わず、お酒造りにおいて水の存在は非常に大きいです。
この瓜裂生水というパットは読めないような名前ですが、その歴史はおよそ600年前前にまで遡ります。瑞泉寺の開祖の綽如上人(しゃくにょしょうにん)がこの地に休息に訪れたときに、連れていた馬の蹄(ひづめ)が陥没し、その跡から清水が湧き出たんだそうです。その清水は、村人が献上した瓜が自然に裂けるほどの冷たさだったそうです。冷たくておいしい瓜を食べた綽如上人はとても喜び、その清水を「瓜裂の清水」と命名したと伝えられているんだそうです。
そんな歴史ある清水の地に三郎丸蒸留所はあります。
三郎丸蒸留所からの距離は車で18分くらいですね。
世界初の鋳物のポットスチル
通常、ポットスチル(蒸溜器)は銅板を熱して曲げて作られます。
スコットランドも日本も同じです。
しかし、三郎丸蒸留所は鋳物(いもの)のポットスチルを作り上げました。これは日本の伝統技術が世界で唯一のポットスチルを作り上げたという事です。
鋳物(いもの)
鋳物とは、加熱して溶かした金属を型に流し込み、冷えて固まった後、型から取り出して作った金属製品
この技術はお寺にある鐘がこの技術で作られています。このことを考えても相当昔からある技術だという事が想像できると思います。
富山県高岡市は加賀藩から続く400年の銅器製造の歴史をもち、現在でも日本の銅器の90%以上が生産されているというから驚きです。
この鋳物という技術を三郎丸蒸留所がポットスチルをを鋳物で作製をすると聞いて驚きました。そして鋳物を調べていました。しばらく経ってあるTV番組の再放送を見たときに非常に驚きました。
三郎丸蒸留所のポットスチルを作り上げた老子(おいご)製作所さんが映っていたからです。
その番組は海外の方で日本の文化技術が好きすぎて、実際に日本に来てその事にかんしてのプロフェッショナルから直接習うという番組なのですが、そこで日本の「鐘」の音色に心を奪われ、実際に自分でも小さな鐘を作っているという男性。
その男性が鋳物を習うために訪れた先が、なんと三郎丸蒸留所のポットスチルを作り上げた老子製作所さんだったんです!
鋳物製ポットスチル「ZEMON」の特長
通常は銅板を熱して伸ばして曲げて叩いてと超時間をかけて仕上げていきます。
しかし、この鋳物の技術を使うとポットスチルの型を作り、その中に同を流し込む、鐘と同じ要領で作り上げるので短時間で作成が出来ます。
更に、伸ばして曲げて叩いてと従来の作りからではなく型に流すことでポットスチルに厚みを持たせることが出来ます。これによりポットスチルの寿命が延びます。
もう一つ付け足すと、スワンネックの曲がっている部分が取り外せ、部分交換が出来るように作り上げられています。これは登ってきた蒸気が当たりダメージが大きい部分なのですが、この作り方は駒ケ岳、津貫蒸溜所のポットスチルと同じ方式を採用しています。
ポットスチルに関しては三郎丸蒸留所さんのホームページに詳しく書いてありますのでぜひ参照して写真等を見ながら読んでみてください。
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世界初鋳造製ポットスチル「ZEMON」の開発
三郎丸0 THE FOOL
そして満を持して発売されたウイスキーが「三郎丸0 THE FLOOL」です。
- 商品名 : シングルモルト「三郎丸(さぶろうまる)0 THE FOOL へビリーピーテッド」
- アルコール分 : 48%
- 容量 : 700ml
- 蒸留年 : 2017年
- 原材料 : モルト
- 販売本数 : 2000本限定
ヘビリーピーテッドでフェノール値50PPM。
2017年蒸留の商品なので旧糖化槽、旧発酵槽、旧蒸留器で醸したウイスキーです。
気になるラベルのデザインですが、これはタロットカードの「愚者(THE FOOL)」をモチーフにしています。「愚者」という名前のタロットですが、これは、彼が愚か者というわけではありません。若者が「未知の世界へ一歩踏み出す状態」であるという意味で、「経験や知恵がまだ備わっていない状態」=0(愚者)として表されているんだそうです。
下にタロットの愚者を説明している動画があったので貼っておきます。
愚者(THE FOOL)の説明
アクセス
若鶴酒造 三郎丸蒸留所
〒939-1308 富山県砺波市三郎丸208
駐車場:普通車15台
※大型バスに関しては、事前にご相談ください。
電車でお越しの場合:北陸新幹線 新高岡駅よりJR城端線にて油田(あぶらでん)駅下車、徒歩1分
富山と言えばモルトヤマさんです
僕の大好きな下野さん。
富山県でモルトウイスキーの販売をしているので「モルト」+「トヤマ」=「モルトヤマ」
Death!!!!!!!
オンラインショップもあります。いつもお世話になってます。ありがとうございます!
シングルモルト通販 モルトヤマ
下野さんのYoutubeは良いですよ~~。構成も上手いなぁ~。
三郎丸蒸留所のことの動画を紹介します。
まとめ
- 日本三大深湾のひとつ富山湾は魚が美味しい
- 同じ市内には日本名水百選の清水が湧き出ていて水質良い
- 世界初の鋳物のポットスチル「ZEMON」は計算され作られている
- 三郎丸0 THE FOOLが発売
- モルトヤマさんのYouTubeは勉強になる