コルシカ島について
コルシカ島という島があるのをご存知でしょうか?僕はフランスで仕事をしていたときに2度ほど旅行に行きました。イタリア半島の西に位置するフランス領の島です。島の大きさは広島なんです。
地中海ではシチリア島、サルデーニャ島、キプロス島に次いで4番目に大きさで、人口は約30.2万人
コルシカ島と言えばやはりターコイズブルーの地中海、そこにそそり立つ赤い断崖絶壁と白い砂浜ですね。このような風景から「地中海に浮かぶ最後の楽園」とも称されています。
そして、忘れてはいけないことがあります!コルシカ島はナポレオンの故郷で、ゆかりの観光スポットがあります。
グルメだと美味しいコルシカワインを始め、やはり島ということで海の幸、ウニが有名です。しかしながらシーズンは冬だけで、実のところ伝統料理は山の幸で作られています。コルシカ豚、ヤギのチーズ、栗粉が名産品で、栗粉を作ったイタリア風のおかゆポレンタ、コルシカ豚肉の加工品フィガテルというサラミ用の物が有名です。
コルシカ島のウイスキー P&M
1999年にビールメーカーPietra(ピエトラ)とリキュール蒸留所Domaine Mavela(ドメーヌ・マヴェラ)のコラボレーションで造られたコルシカ島のウイスキーです。
Pietra(ピエトラ)もDomaine Mavela(ドメーヌ・マヴェラ)も共にコルシカ島にあります。
ビールメーカーとリキュールメーカーのコラボですが、麦汁をビールメーカーのPietraで作ります。厳選された大麦から作られたモルトを自社酵母で発酵し、蒸留に適した一番いいタイミングでMavelaの蒸留所に運びます。そこで、単式蒸留器と連続式蒸留器を組み合わせた1500Lのホルスタイン社製オーダーメイド蒸留器を使って、蒸留を一回のみ行います。
ミドルカットを行いハーツ部分のみをコルシカ島のワイン樽で熟成します。地中海の気候の影響で、エンジェルシェア(アルコールの蒸発分)がスコットランドや日本より2倍になるそうです!
その分、短期間でウイスキーに凝縮感を与えます。さらに、コルシカ島の海と山の大自然、ワイン樽と近くに貯蔵されているリキュールがウイスキーに複雑さを与えます。
その結果、2014年にジム・マーレイ氏のウイスキー・バイブルに選ばれ、ミシュラン三つ星シェフピエール・ガニェール氏や2007年世界最優秀ソムリエのアンドレアス・ラーソン氏等に推薦されました。
ワイン同様、コルシカ島のテロワールをうまく表す小規模のウイスキーメーカーです。
コルシカ島のビール Pietra(ピエトラ)
このピエトラというビール醸造所なんですが、上でコルシカ島の特産物として栗粉と書きましたが、ピエトラ醸造所は栗粉をベースにしてビールを造っているんです。
コルシカ島を代表する五種類の樹木があります。
・クロイチゴ
・オリーブ
・イチジク
・ブドウ
そして、栗の木です。
特にこの栗の木は「命の木」「聖なる木」と呼ばれていて、コルシカ島の日常生活のなかで非常に重要なポジションを占めています。まず、島ということで山が多く麦の栽培が難しかったとも言われています。それゆえに80年代までは小麦のパンの代わりに栗のパンやポレンタ(トウモロコシの粉)が主食でした。主食としてだけではなく、栗の木は建築や家具の材料として使われました。香り高い薪としても利用されたそうです。コルシカ島の特産物である豚肉のシャルキュトリー(ソーセージやサラミ)の薫製の工程の際に栗の木で燻しています。
この様にコルシカ島において栗の木というものは生活と非常に密着していて歴史上においても無くてはならない存在だということです。
Domaine Mavela(ドメーヌ・マヴェラ)
マヴェラ蒸留所は、ブドウ園と果樹園に囲まれたアレリアの町の東部の平原中心部にあります。海と山の側はカサビアンダ地域に隣接していて、600ヘクタールの農業地帯を所有し、農場は様々な産業活動から保護されています。
マヴェラは元々はオー・ド・ヴィを作っていました。20世紀になってから特産物の果物プラムに力を入れるようになりプラムブランデーを作り品評会で高く評価されました。マヴェラの持つ自然豊かな農場がその精神を作り上げています。様々な果実の収穫は、蒸留の前工程の皮むき、浸漬、ろ過と同様に全てが手作業で行われてます。蒸留期間は年間を通して行われているのですが、季節に応じて果実を変えています。ラズベリー(5月~6月)、梨とブドウ(7月~8月)、プラム(9月)、栗(10月)、柚子(11月)、マートル(12月)と季節を感じさせる旬の時期に適した果物を使用しているのも特徴です。
マヴェラのホームページのはその真髄がこのように現わされています。
マヴェラは、着色料やフレーバーを使わずに、新鮮な果物のみから作られたスピリッツを保証します。これは、環境への最大の敬意を表しています。
P&M コルシカウイスキー シグニチャー
ちょっと面白いな~と思ったことがあります。例えば僕たちの住む日本という国も世界に名を馳せているウイスキー生産国です。多くの新規蒸溜所も本場スコットランドを追い越せと言わんばかりに伝統的なスコットランドの蒸留法を用いてウイスキー造りをしています。
しかし、このP&Mのアプローチは少し違います!
スコットランド、アイルランド、または米国で施行されている基準を再現することではなく、島のすべての芳香のエッセンスを利用する新しいスタイルのウイスキーの作成に焦点を当てるということなんです。
熟成のために使用される樽は、最高のコルシカワインの熟成に使ったオーク樽だけ。その後、ウイスキーはコルシカ島の標高1000メートル以上に位置するサン・ジョルジュで熟成をされます。
この様に独自のフィロゾフィを持ち造られるP&Mコルシカウイスキーは、あのウイスキーヴァイブルのジム・マーレイからこのように称されました。
このレベルの複雑さと魅力を備えたモルトを見つけることはめったにありません。言うなれば『絶妙』このモルトを伝えることができることに絶対的な喜びを間違く感じる。
【トップ】
ワイン、サルタナレーズン、若くフレッシュ感があり、甘いブランデーのようなニュアンスがあります。フレッシュなマスカットも感じます。
【味わい】
ウッディ、ハチミツ、白いデザートワイン、バニラクリーム。ネガティブな意味で少しワックス。
【フィニッシュ】
ペッパー、オーク、ハチミツ、サルタナレーズン。余韻は長くない。
なんて言うんでしょうね・・・若いブランデーっぽいです。かなりオリジナリティーがあります。他のウイスキーと比べようがない印象もあります。